
E1 英語力 = 「質問力」
~ Follow-up Questions をしていますか? ~
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「老人力」、「女子力」など、「○○力」という造語がたくさんあります。
ネイティブ・スピーカーと会話を楽しめるのは、
英語が上手だからということだけがその理由なのでしょうか?
もちろん、それだけではありません。
たとえ語学力が不足していても、相手の話を聞いて、その話題をふくらませるような質問ができれば、
会話は自ずと弾んでくるものではないでしょうか。
つまり、ここで大切なのが「質問力」です。
【アクティビティーの例】
教科書の本文を読んだら、その内容に対して Follow-up Questions をいくつか作ってみましょう。本文を、あたかもネイティブ・スピーカーの話だと考えて、それに対する質問をしてください。何かを Input したら、Follow-up Questions で Output してみます。質問 (Output) しなければならないと思えば、読むこと・聞くこと (Input) に対する集中力も高まります。ペアワークを行うならば、教科書本文の作者に代わって、Follow-up Questions に自分なりに想像して答えてみましょう。その際、理由付け (Reasoning) と具体例を言うことも忘れずに。
E2 Lip Reading
~ 英語らしい発音をするための「筋トレ」 ! (発音の「高地トレーニング」) ~
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Partner A pronounces the words without using his/her voice. Partner B reads Partner A’s lips and guesses which word his/her Partner A is reading. Then, Partner B repeats with voice the words, phrases or sentences Partner A is reading. They take turns asking questions.
E3 “Mystery Words”
~ こんなところにも英英辞典の出番が! ~
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One student in each pair turns their back to the blackboard. The other student faces the blackboard, and teacher writes some words (from the text) on the board. The student who can see the board describes the words in English, and the other student takes a guess about what words are on the board.
E4 One Word Exchange Rewriting
~ 要するに「英借文」! (後々、「英借文章」が書けるようになるための準備) ~
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Teacher chooses a sentence which has an important grammatical point or sentence structure. Students exchange one or more words in the sentence and rewrite it.
E5 日本語で音痴は英語でも音痴!
~ 村上春樹さんのエッセイ集 『村上朝日堂』 より ~
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これまでも、繰り返し話をしてきましたが、
ネイティブ・スピーカーと英語で上手く会話できないのは
英語力が足りないからだけではありません。
もし仮に、お互いに日本語を話すことができたとしても、
かならずしも、楽しく会話はできないかもしれないのです。
数十年前の記憶ですが、村上春樹さんのエッセイ集『村上朝日堂』に、こうありました。
日本語で歌って音痴な人は、英語でも音痴のように、
日本語で会話が下手な人は、英語でも会話が下手である。
小学校の英語教育における問題点にも通じるものがありますが、
私たちは、英語力育成について考える前に、
日本語でのコミュニケーション力をチェックしておく必要があるかもしれません。
E6 使い古した熟語がピカピカに!
~ 大西泰斗先生! こんな教え方も有りですか!? ~
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大西泰斗先生の講演会に行ってきました。
テレビ番組と同様、テンポのよい、随所に洒落のきいた講演でした。
ところで、いろいろなお話のなかに、次のようなものがありました。
「英文を読むとき、一瞬でも、視線が右から左に戻ってはいけない!」
「たとえ、“of ”(~の…)であっても、
視線(意識)が右から左に戻ってはいけない!」
この話を踏まえると、
例えば、中学で学ぶ基本熟語の一つ “ be made of[from] ~ ” は、
日本人とネイティブ・スピーカーのそれぞれが、
次のようにイメージしているのではないかと、あらためて考えました。
(アカデミズムは多少犠牲にして・・・)
使用する例文:
Cheese is made from milk. 「チーズはミルクからできている」
This table is made of wood. 「このテーブルは木製です(木でできている)」
解説:
<日本人のイメージ>
和訳に出てくる言葉の順番が、「チーズ」→「ミルク」→「できている」となっていて、
最後に「できている」と来るせいか、「できている」の主語は「チーズが」となるため、
意識の上でチーズのイメージが最後に残ります。
「チーズ」→「ミルク」→「できている」→「チーズ」
言いかえれば、牛乳や木材が、そのチーズやテーブルという完成品に形づくられていく、
変化していく、または組み立てられていくというイメージ(意識)の流れとなります。
<ネイティブ・スピーカーのイメージ>
英語に出てくる言葉の順番が、"cheese"→"made from"→"milk"となっていて、
最後に "milk" と来るせいか、
"cheese" や "table" が、"milk" や "wood" に分解されていくイメージ(意識)の流れとなります。
以上を言いかえると、ネイティブ・スピーカーは、
製造の過程をまるでビデオを逆再生するかのように、
“Cheese → milk”、“table → wood”と意識していることになります。
学術的に実際はどうであれ、頭から読んで、
一瞬たりとも視線が戻らないようにするためには、
このように考えることも有効ではないでしょうか。
そうなりますと、
たとえば、"B as well as A" [= not only A but (also) B] を、
次のように説明してきたことも、まんざら悪くなかったような気がします。
解説:
(生徒たちには、便宜的に頭から英文を理解する(訳し下す)ための
手段であると前置きしてから・・・)。
例えば、“He has experience as well as knowledge.”という英文は、
as well as の直前まで読んだ時点で、
「彼は experience (経験)マデモ(までも)しているんだね」と、いったん区切って、
as well as の後は、それ(experience)よりはトーゼン(当然)持っているはずのことが
書かれている(言われる)はずだぞ、という心構えでいるようにしよう、という解説です。
この「前から理解していく」という姿勢を徹底すれば、
熟語・構文によってはネイティブ・スピーカーの意識の流れを
垣間見るような新鮮な気持ちで説明できるのではないかと思います。
もしそうであるならば、熟語集や構文集も、一部の和訳を大きく変える必要があります。
もしかしたら、すでにそのような熟語集は出版されているかもしれませんし、
もしなければ、自らつくってみたいと思う熟語集・構文集です。
そのタイトルは『逆再生の英熟語』!?
(訳例)
A is made from B → 「 A の原料は B だ」
A is made of B → 「 A の材料は B だ」
X as well as Y → 「 X もだよ。Y はもちろん!」
E7 「ツッコミ」・リーディング (別名: Tweet リーディング)
~ 検定教科書に、「なんでやねん!」 ~
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ノートをとるときは、ただ単に板書を写して解説をメモするだけでなく、自分の感想もメモの横に書き留めるといいと言われます。そうすることで、能動的に授業にかかわる姿勢が生まれるからです。
そこで、ノート・テイキングのテクニックを利用して英語の教科書を読んでみてはどうでしょうか。
具体的には、教科書の英文に、漫才ではありませんが、ツッコミを入れながら読むのです。例えば、初歩の段階では、That’s cool! That’s terrible! などのストレートなリアクションで構いません。また、Why や How など、5W1H の Follow-up Questions でも OK です。ディベートの質疑応答・反駁で使用するフレーズも使うことができますし、いずれは、茶々を入れるようなコメントができれば上級クラスです。
要するに、本文の内容に能動的に関わるための、そして、自らが楽しむための工夫ですから、いろいろ、本文にツッコミを入れてみてください。
漫才ブームは繰り返します。私たちは、もともとお笑いにたいへん関心が高いわけです。Visualize の作業もそうですが、これも心とアタマが動く作業です。
果たして、推敲と熟慮を重ねた検定教科書に、「なんでやねん!」とツッコミを入れることはできるのでしょうか?
(漫才に馴染みのな人は、教科書の英文に自分の感想・意見をツイートするつもりで!)
E8 “Chain Letter”
~ ディベートの下準備 ~
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Students make a group of five or six. First, they write (down) their opinions/reasons, for example, for or against the writer's opinion after reading a passage. Next, pass their paper to the person to their right. The second person writes their opinion/reason referring to the former person's opinion/reason. After that, continue to pass the paper and write their opinions/reasons as long as time allows.
When teacher says "Stop," pass the paper to the original person, the first person who wrote their comments first. Then, the first person underlines the interesting opinions/reasons with a colored pen.
E9 「図読」! 3つの効用 ・・・ これは効く! (PDFファイル付)
~ ①4技能を統合、②プレゼンの練習、③精読も出来る! ~
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作成したハンドアウトをご参照ください。 ※右(下)のPDFファイル
図解を用いて、スッキリ整理された、大人のタッチのプレゼンを目指しましょう!
E10 珍説? 「授業」は「料理」!
~ 本格フレンチ VS 家庭料理 ~
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誤解を恐れずに言うならば、私なりに模索して、ますます確信する教科指導の真髄とは、
英語教授とは「家庭料理」だということです。
さまざまな教授法という調理法で、
多岐に渡る分野の英文という食材を、
日々、料理していると例えられるのではないでしょうか。
ときには、限られた時間のなか、手元にある食材で、
美味しくて栄養価も高く、見栄えもよい料理をつくる必要もあります。
ディベート、もしくは、ディベートのコンセプトが入った授業などは、
4技能という「主食、主菜」と、critical thinking という滋養のある副菜が揃った、
多様な食材で栄養のバランスもとれた家庭料理と言えます。
(もちろん、年に何回か、高級食材を使った、
仕込みに手間暇かけたフレンチも作ってみたいと思います)




2-1-10

英語教育 = 英語学習
■ No. 1 - No. 10 ■
授業で使うアクティビティー、テスト作成の裏技、
英語学習者の一人として励行していること、英語教育観、等々、
これまでに考案・実践・考察してきたものを、随時、掲載しています。
※ まだまだ作成の途上ですが、お読みいただければ幸いです。
※ スマートフォンまたはiPad では、PDFファイルやイラストはページ下方に表示されるかもしれません。
何卒、ご了承ください。